辛夷第二幕感想④アンラッキーの事情
辛夷第二幕の感想も半分を過ぎまして、和田桜子さんメインの「アンラッキーの事情」です。
今回のアルバム新曲で一、二を争うくらいに好きな曲です!失恋ソングですが、桜子さんの持ち味であるウェッティ感がすごく出ているな~と思います。
曲全体について
歌詞は失恋ソングということで湿度が高くなっていますが、曲構成としてはこぶしの中でも「踊る曲」になっています。緩急のコントラストが鮮やかで、さこが秘める激情を感じられますが、後ろのストリングスなどが悲恋も表現しています。
メンバーの歌唱も意識的に緩急をつけようとしているんじゃないかな~。作曲・編曲はカントリーで「待てないアフターファイブ」を提供している石井健太郎さんだそうです。
歌詞について
作詞はハロプロで多数提供のある井筒日美さんです。2019年の新曲ではアンジュルムの「私を創るのは私」、つばきの「ふわり、恋時計」などがありますよね。こぶしでは「これからだ!」で直接対談もしています。こぶしに楽曲提供するにあたって誰がメインとか伝わっていたのかな~。
歌詞は失恋したばかりの女の子が主人公ですが、年は高校生~大学生くらいですかね。2番で
嬉しさ、楽しさの感情
昨日に置き忘れたの
とあるので、まさに昨日失恋したのかな。
素直に時系列をつくると
失恋→2番→1番
でないといろいろ成立しなくない?とも思うのですが、「あんなわからず屋な君」「二人だって孤独だった」ともあるので、もしかしたら決定的に別れる前からなんだかうまくいかなくてバイトでミスが重なって…とかであれば
失恋→1番→2番
になるでしょう。むしろそのほうが自然に聴けるかな。
簡単にいうと失恋から立ち直りたい女の子の曲なんですけど、それをベタなくらいじっとりと描いているところが好きです。
1番ではただひたすらに悲しみに暮れている姿が描かれていますが、やけにリアル(笑)悲しいときって五感すべてが悲しいし、明るいものを見ても余計に悲しくなるんですよね。
風が耳を掠めるだけで元彼を思い出すし、そうなればもしかしたら…と周りをつい探してしまうし、似てる人がやけに目に入る。忘れたい忘れたいと思うほどに色濃く思い出してしまうものです。(まさにアンラッキーの自乗ですね)
自由に飛び回る鳥にさえムカついているところがガチでいいです…。まだまだ忘れられないところで1番が終わります。
2番は彼と別れたことで空白になってしまった予定を友達が埋めてくれているシーンから始まります。でも別れたばっかりって友達が励ましてくれていてもいまいち頭に入ってこないんですよね。時間が経つのも遅く、友達のことは好きなのにうまく笑えず、ますます苦しくなってしまう。
でもサビあたりでちょっとずつ前に進む姿勢が見えてきますよね。1番ではそうするべきだよねと一般論で「断ち切って」と言っている感じでしたが、2番では自分で自分に言い聞かせている印象を受けます。
落ちサビからは曲の盛り上げや歌い分けの効果もあり、立ち直りが近いんじゃないかな~と思わせてくれます。このへんは歌唱表現のところで詳しく書きます。
個人的に刺さったのは「二人だって孤独だった」という歌詞で、主人公はたぶん付き合っていてもそんなに幸せではなかったんじゃないかと思う(笑)
付き合っていてもあんまり大事にしてもらえていなくて「二人だって孤独」を感じていても、でも一人でいるよりは寂しくない。彼がいなくなるとますます孤独に感じて探してしまう…。
受け身じゃない生き方がいい
とありますが、彼に流されたり、言いたいことを我慢したりして付き合っていたのかな~。
この「二人だって孤独だった」は大サビで出てくるフレーズですが、ある程度自分を客観視できるようにならないと出てこない感情なんですよね。主人公はこの先やりたいことをやりたいようにできる自分に…!と進んでいきそう。
ただ失恋から立ち直るときはこう思っていてもまた恋をするとまた同じことを繰り返してしまうのも人生……って感じもする……主人公に幸あれ…………。
歌唱表現その他のこと
さこちゃんフィーチャー曲ということで、全体的に湿度高めの歌い方がディレクションされています。和田さんはこぶしでは5番手みたいな扱いをされることが多いですが、歌唱については非常にテクニカルだなと思います。たぶんこぶしで一番器用。
辛夷其ノ一でも思いましたが、和田桜子さんはアルバムで輝くメンバーですよね…。ディレクターの山尾氏に言われるようにしゃくりが得意ですが、それに加え声色の幅も広く、感情を技術としてアウトぷっとするのも上手。
「アンラッキーの事情」では最後の「断ち切って」に「泣き」の響きが使われています。和田桜子さん自身は普段ロックを聴いているようですが、おっとり見えて実はかなり情緒が豊かなんだなと伺えます。
また、本楽曲でカギとなるのは「断ち切って」というフレーズです。1番は野村みな美ちゃん、2番は広瀬彩海さん、最後はさこちゃんが担当していますが、まさに三者三様でとても聴きごたえがあります。1番ののむちゃんはこれまでの流れなんて全然関係ありません!!!!って感じの「たぁつィきいいいってええええ!」で、これは主人公の言葉というよりは、周囲の声のように聴こえます。
2番のあやぱんの「断ち切って」は主人公自身の決意のように思われます。ちょっぴり未練もありつつ前を向かなきゃという感じ。最後のさこちゃん「断ち切って」は、「泣き」の響きとしゃくりの効果でとてもドラマチック。そのあとの「光へと」は正直蛇足感が否めませんが(個人の感想です)、悲しみを受け入れつつ新たな自分へ一歩踏み出したい強さも感じられるいい終わりだな~と思います。
他ももちろんいいパートがたくさんあったので、例のごとく箇条書きします。
・井上玲音ちゃんの英語っぽく聴こえる「過去の影を追えば」
・浜浦彩乃ちゃんの「時の針は重く 鉛を飲み込んだよう」「上手く笑えない」
本人はぜったい上手く笑えないときなんてなさそうなのにしっかり上手く笑えない子になれてるところがすごい
・ユニゾン「哀しみスバイラル」で聴こえるあやぱんの音の処理
失恋ソングでしっとり聴かせるだけではなく、テクニカルにも魅せることができるこぶしちゃんたち本当に凄い!メンバーが大人になるにつれてこういう曲もふえていくのかな……。
辛夷第二幕感想③開き直っちゃえ!
辛夷第二幕の曲感想3つ目です。
中島卓偉さん作詞作曲の「開き直っちゃえ!」は野村みな美ちゃんメインでつくられた楽曲ですが、あやぱんとはまちゃんが初めて聴いて泣いたというエピソードが有名ですよね。
こぶしファクトリーといえば「今はつらくても折れずに頑張ろう」曲が多いですが、ここにきて初めてのちょっと休憩しようという曲で、頑張り屋さんな2人の心に響くのも頷けるなと思います。
曲全体について
中島卓偉さんの曲といえば解放感のあるコード進行が好きだなと思うことが多いんですけど、「開き直っちゃえ!」でもその特徴が見られます。
Aメロでは楽に、展開していくごとに厚みを増し、サビでパーッと明るく。雲の切れ間から光が差し込む瞬間のような…美しい情景を思わせます。
そしてやはりロックの人なのでインストも良いですよね。生バンドで聴きたくなります。冒頭ドラムの「ジャカジャカッ、ジャカジャカッ」ってみんなやりたいでしょ……。私はやりたい。
あと「明日の私は~」よりは控えめだけどそれでもやっぱりコーラス卓偉がいい意味でうるさくて好き。メンバーのパートもハモに力を入れているのかな、5人とは思えない厚みがあります。毎朝出勤時に聴くと励まされるのでおすすめです。
歌詞について
あやぱんとはまちゃんが泣いちゃったというのは歌詞が心に刺さったんだろうな~と思う、頑張る人への休憩ソングです。
よく考えれば「何度でもやってやるのさ」と四股を踏み、「絶~対!揺らがな~~~い!」とイノシシになり(?)、「絶対にやめるもんか」と瞳でスクリーンショットし…といい意味でも悪い意味でも力を抜かず努力を続けてきた5人ですから、「頑張ってるんだからたまには自分を褒めよう」と言われたらそりゃ涙が出てきちゃうよね……。
全体的にストレートな表現で、「たまには休憩しよう」「自分を褒めよう」「大丈夫だよ」と歌っている曲なのですが、随所でこぶしちゃんにぴったりだなと思う描写が出てきます。
冒頭の
ちゃんとやらなきゃ嫌な性格で
こうじゃなきゃダメだって決めつけて
結局自分のルールに縛られるエヴリデイ
っていかにもあやぱんとはまちゃんっぽいですよね…(笑)
メンバーの傾向として力を抜くとか自分を褒めることが苦手な子が集まっていますが、のむちゃんはいい意味でゆるく、うまくバランスとれてるなと思います。このような背景を踏まえて「開き直っちゃえ!」を聴くと、メンバーとのむちゃんの対話のようにも聴こえます。
でももうちょっと緩めてもいいんじゃない?
や、
でももうちょっとラフにしてもいいんじゃない?
が野村パートなのもいいですよね。
歌唱表現その他のこと
全体的に「ゆるく」「肩の力を抜いて」歌うことがこの曲の肝だなと思うのですが、苦戦したメンバーもいるんじゃないかな~と邪推してしまいます。
声を張るって意外と簡単で、楽に、語るように歌うことってすごく難しいんですよね。前に室田瑞希ちゃんのボイトレでも見たんですけど、ハロメンは特に気を抜くと声を張ってしまう傾向があります。厚みのあるボーカルとパワーのある楽曲を売りにしてるこぶしメンは特にそうなんじゃないかな~なんて…。(つばきのまおぴんとかはしゃべるように歌うの上手だと思う)
でも楽に歌うことができれば歌唱表現に幅が出ますよね。この曲はのむちゃんメインの曲ですが、特にはまちゃんが「ゆるく歌う」ことについて何か掴めたのかなと思いました。
ではメインの野村さんはどうだったのかという話なんですけど、野村さんの解放感ある声にぴったりの楽曲をもらえたなという印象です。
野村さんの歌声で凄いなと思うのは、細かいビブラートとかももちろん魅力的なんですけど、倍音がよく出るところです。他の人とのユニゾンと溶け込みつつ、ソロでもカーンと響く音が出るって、ボーカルグループで大きな強みです。アカペラで野村さんがベースを担当している理由のひとつに声質がありそう。実際、落ちサビの解放感が素晴らしいですよね。頑張りすぎて視野が狭くなっている人には天啓のようにも聴こえるんじゃないかな、と思うくらい、強さ・優しさ・明るさ・尊さ…と多くの魅力を感じられるパートです。そう、さらっと書いたけど宗教的ななにかを感じます、野村さんの歌声に…。
また、今回は間奏でフェイクにも挑戦していますよね。のむちゃんは普段からいろいろな種類の音楽を聴くというよりは好きな曲を聴きつつ、流行りはなんとなく…というタイプっぽいなので、「(音楽的に)自由にやっていいよ」に弱い印象があります。音楽性をより高められたら野村さんはさらに最強に近づいちゃうな~~~と最近よく思います。大人から言われたことを素直に実践できるのが野村さんの良いところなので、このまますくすくと育ってほしい、とつい親目線になっちゃう。
もちろん他のメンバーもいいな~と思うところがたくさんでした!
・「どのレベルを言うんだろ?」玲音ちゃんの「ろ」の発音
・十分承知してる広瀬さんの「ah han」
歌い方をロックに寄せてるところが本当に器用。
・なるようになるもんさって開き直る広瀬さん
「なるもんさって」が日本語じゃなく聴こえる。かっこいい。
・みんながハッピーでいれたらそれでいいはまちゃんのぎこちなさが残る「ah han」
・なんとかなっちゃうはまちゃんの楽な歌声
・「ここは一度自分で」玲音ちゃんの伸びやかな歌声
・フェイクと言えば私!というくらいの貫禄がある広瀬さん
広瀬さんの英語の発音もかっこよくて好き。絶対勉強してる。えらい。好き。
・「ここは一度自分で」和田さんの音の処理
開き直っちゃえ!と歌えるのは、この歌が人の心に響くのはこぶしちゃんがこれまでひたむきに頑張ってきた過去があるからなんだなあと思います。そんな歌を与えられたのもアップフロントの大人たちがこぶしちゃんたちの頑張りを見ているからなんだろうなともほっこりした!
5人になったばかりの頃はこれからどうするんだろうと思ったけど、アカペラを始めたあたりからプロデュース側とメンバーで良い関係がつくれているんだろうと思える場面が多くあるように感じます。2019年は特にそれが顕著だった!メンバーも自分や他のメンバーの長所を理解しあって、音楽について勉強しよう、音楽的に成長しようと思っていて、それを大人たちがサポートしている健全な関係…嬉しい……。
アップフロントに対してむかつくことは沢山あるけど、こぶしとBEYOOOOONDSに関してはいい関係が築けているんだろうなと思うことが多くあった一年でした。
来年も再来年もその先も、こぶしちゃんにいい曲がきますように!
辛夷第二幕感想②好きかもしれない
辛夷第二幕感想シリーズ第2弾は井上玲音ちゃんメインの「好きかもしれない」です。児玉雨子さんの恋愛ソングは外れがないと思ってるのですがこの曲もほんとによい……。
こぶしメンが「みんなこういうの好きでしょ~」と言ってたけどそうだよ大好きだよの気持ちです。
曲全体について
こぶしのラブソングといえば同アルバムに収録されている「消せやしないキモチ」ですが、それより数段大人っぽい歌詞で、こぶしちゃんの新しい魅力をたくさん見せてくれています。好きや…………。
曲構成はアイドルソングの王道をいっている感じに思います。ダンサブルなイントロ、サビへの追い込み、見せ場の落ちサビ、そしてテンションが最高潮に達する大サビ!ライブで聴いたら盛り上がること間違いなしです。
インストだけ注意して聴いてみるとピコピコ音が気持ちよい場所に入っていますね。リズム隊がまた楽しそう。
曲全体に緩急があってドラマチックな印象になっていますが、それをさらに盛り上げるこぶしちゃんの歌唱がほんとうに激アツで……。歌唱表現については後ほど書こうかなと思います。
歌詞について
冒頭でも触れましたが児玉雨子さんの作詞です。概要としては恋愛を一通り経験してきた女性が好きかどうか自分でもわからない人と別れて帰路につくかどうかの一瞬を描いた曲です。一言で表すなら「終電どうする?」ですね。
なんだか今日で関係が変わりそうな気がするのに自分の感情が追い付いていない。あるときから恋愛って急激にスピード感を増しますよね。だから好きかどうかわからないけど関係が進んでしまう事態が発生するわけですけど、いろいろ考えているうちにそもそも「好きってなんだっけ?」状態になってしまったり、あとから考えてみたら意外と好きだったんだなあ私となってしまったりするんですよね。
後悔しないためにはそろそろお店を出るころ合いかな、となったときに最善の判断をしないといけない…。優柔不断でいられる暇がないし、駆け引きも必要だし、そもそも自分も相手もはっきりとしたことは言わないからお互いの気持ちに確信は持てないし。年や経験を重ねるごとに素直なことは言えなくなるし……。そんなもどかしさや切なさを「まだ知らないことばかり~」と歌っていたこぶしちゃん達が歌ってるのが胸アツですよね。
児玉雨子さんといえば言葉遊びと対比の表現に特徴があるなと思うのですが、今回は対比が2番に使われています。
大事にされたい もっと強引でいい
過去訊いてみたい
何ひとつも知りたくない
相反する気持ちだけどいやほんまこれやで~~~~と3,000回くらいファボしたい。タイトルは「好きかもしれない」だけど本当はもう好きだし、だからこんな風に思ってヤキモキしてしまうんですよね……はあ、好きや雨子。
こんな感じで恋愛下手にグサグサくる部分が多数あって…。
・抱きしめてって私からは言わない
・駆け引きなどしてないただ意地っぱりが ざわめきが黙らない
・なんでもないふりがうまくなる前に
・単純なことばかり勇気が要るみたい
主人公はどんな相手にこういう感情を抱いているんだろうといろいろ思いをめぐらせてみたんですけど、
- 仲良しグループの中で急に仲良くなった人
- 同じ職場の別部署の人
- 同窓会で久しぶりに会ってから飲みにいくようになった人
とかどうかなあと思います(?)少なくともついさっき知り合った人ではないと思うんですよね。
そんで、意地っ張りになってしまうということは元々出会いを求めて出会った人ではないはずなんですよ。
そうなるとコミュニティがかぶっていて、もし相手にそういう気がなくただ自分が勘違いしちゃっていたとしたら地味に気まずくなってしまいそうな…。それこそなんでもないふりをしないといけないような関係な気がする。ここで普通に帰っちゃった後二度と会わないような関係ではないと思うんですよね。
こういうのって現実でもめちゃくちゃありそうで、すんごく生々しくて、でも雨子さんの絶妙な匙加減で下品にならずアイドルソングになってる。あ~~~天才だよ~~~~~~。
歌唱表現その他のこと
この曲はやっぱりれいちゃん!れいちゃんといえば華奢な体と可憐なお顔立ちからは想像できないほど迫力のある歌声が出てくるギャップが魅力ですよね。ですがこの曲ではこれまでのイメージとは打って変わって繊細な表現が光りまくっている……。井上玲音の第二幕を感じさせます。
思い返せばハルウララでもその兆しがあったんですけど、ここにきて一皮むけた感じがします。
冒頭の「ほんのちょっとだけ…」の切なさ、思わずぎゅっと抱きしめたくなる…。
そして何よりも落ちサビですよね!!
…単純なことばかり勇気が要るみたい
までの繊細な表現から、
身体 心 言葉 今すべて
の心の叫びへの変化、テンションの上げ方が素晴らしい!
他のメンバーももちろん良くて、前回みたいに箇条書きにすると
・もう子どもじゃない和田桜子の「じゃ」
・愛か錯覚かあなたに決めてほしい野村みな美の「か」の音処理
・性格的に素直じゃない広瀬彩海の「抱きしめてって私からは言わない」の最後の音の抜きかた
・元カノのことをずばっと聞いてきそうな浜浦彩乃の「何一つも知りたくない」
(その前の「過去訊いてみたい 」も良い。浜ちゃんが楽に歌ったときの声が好きなんだ私は)
・なんでもないふりが一番うまそうな広瀬の「なんでもないふりがうまくなる前に」
・セクシー和田の「恋の行方」のしゃくり「私だってわからな~い」のしゃくりと吐息
・大サビ和田の「なんでもないふりが うまくなる前に」の「う」
こういう曲、和田桜子さんがとっても得意ですよね。元々アルバムで輝く女だと思ってたんですけど、ここにきてさらに才能開花してる気がする。
こぶしちゃんの新たな一面を見れるセクシー楽曲、増えてほしいなあ~~~。でも失恋の歌だけじゃなく、恋して楽し~~~!ハッピ~~~~~!!みたいな曲も聴きたいな~~~。
辛夷第二幕感想①Come with me
今更ですがようやくまとまった時間をとれたのでこぶしファクトリー2ndアルバム『辛夷第二幕』のレビュー、とまでいかなくても感想をつらつら書こうと思います。
全曲はたぶん無理なのでアルバムでの新曲(除・ライブ新曲)だけ!今回はメンバーそれぞれをフィーチャーしているということで、メンバーの良さや逆に新しい面を見せてくれる曲が揃っているな~と思いました。
まずはあやぱんこと広瀬彩海(ひろせ・あやか)さんメインの「Come with me」の感想から。
曲全体について
初めて聴いたときはとにかく「おしゃれ!!!!!」の一言に尽きた……。今までこぶしにこんな洒落てる曲あったかい。Juice=Juiceかと思ったわ。焦った~~~~。
もう一回聴いて、なんて難しい曲なんだと思いました。リズムがえぐい。この前カラオケで入れてみたら全然歌えなかった。リズムをかなり細かくとっていないと遅れちゃう。これ音ゲーであったら譜面がとんでもないことになりそうで楽しいでしょうね。
come with meは音ゲーにしたら譜面がエグそう
— ゆるふわOL(たけのこ派) (@svnelvniikbn) 2019年10月3日
歌詞について
そんで歌詞なんですけど、アイドルグループこぶしファクトリーとも、普通の女の子の感情ともとれるような内容が良いですね。1番とか特に一般女性でも感じる感情が書いてあって、こぶしファクトリーのみなさんが成長著しい年頃の女性であることを改めて思い知らされますよね。
女の子が最高に面白くなるのはこっからじゃん?
つまり
私たち(こぶしファクトリー)が最高に面白くなるのはこっからじゃん?
なんですよね!
そこからよくよく見ていくと
圧倒的に凛と咲き誇ろう
躓いて悔しくてチョット!泣いて
対照的な根を伸ばしていこう
などこぶしファクトリーの過去の楽曲を思わせるようなフレーズが入っていたりなんかする。楽しい~~~~~!
特に「チョット!」のあたりとか疾走感が気持ちいいです。
2番は1番と変わりこぶしファクトリーというグループを想起させる内容が盛り込まれています。
躓いて悔しくてチョット!泣いて
そしたら腹減って大好物食べて満足
↑ラーメンかな
日々鍛錬 心強くなってく 目を逸らさないで
アカペラもそうですけど、どんどんあがる歌唱力、パフォーマンス力は日々の鍛錬の結果なんだなあと思わされるところ。
先ほども登場した
対照的な根を伸ばしていこう
は(つばきファクトリーとは)対照的な…かなとも思います。
また、同時に作詞作曲を担当されている中村瑛彦さんからの応援メッセージであるとともにこぶしファクトリーの決意表明である部分もあって、彼女たちにそうあって欲しいな、とファンは涙がちょちょぎれます。
どんな日が来ても 倒れないで
全力前進でずっと駆け抜けるためにさ
自分愛せ
どんなにつらいことがあっても、立ち止まらず全力で走り抜ける姿はこぶしファクトリーのありかたそのものですし、彼女たちだけにはそうあって欲しい。
同時に自分に厳しい子たちばかりですので、時には自分の努力や良いところを認める日もつくって欲しいなとも思います。だってこぶしファクトリーのキャリアはまだまだこれからですからね!!!!!
その日は来るよ 天晴れだぜ
全身全霊かけて夢中にさせるからさ
ついてこいよー!!!
まずは念願の単独武道館をぜひ叶えてほしいなあ。きっとできるよね。
ジャニーズグループなどにも楽曲提供をされており、「言葉の魔術師」とも評される中村瑛彦さんですが、「Come with me」にもその特長が存分に現れているのもぜひ注目したいところ。
個人的に好きなとこを挙げます
自己満足じゃもう不満足
みたいな韻の踏み方
Come with me~
からの
だから with me
上手いにもほどがあるんだわ。
目を逸らさないで
からの
これからが楽しみday(楽しみで)
これは歌詞カード見るまで普通に「楽しみで」だと思ってた。
他にもいろいろあるはずなので、好きなところをそれぞれ私に教えてください。
歌唱表現その他のこと
あやぱんメイン曲ということで、あらゆるところで難易度が高いのがアツいですよね。全員が歌唱メンのこぶしの中でも歌姫だもんね。
レコーディング映像とか見てもわかるんですけど、広瀬さんは本当に歌唱表現の引き出しが多く、それが彼女の歌の魅力をさらに広げていますよね……。超絶suki…………。
冒頭部分何回か録り直したんだろうけど全部売ってほしい。
広瀬=フェイク担当でもありますが、この曲でも大サビ部分で楽しめます。
あと広瀬さんといえば歌唱だけじゃなくメイクを中心に研究を欠かさない努力の人であることは皆さんご存知でしょうが、その彼女が「一瞬で私は変わってくから目を離さないでついてこい」と歌ってるのが強い。強すぎる。ちょっぴり挑戦的な歌詞が多いのも良いですよね。努力の人であると同時にちょっぴり強がりでかまってちゃんなプリンセス広瀬さんの魅力が詰まったような曲だと思います。
そんで、あやぱんの歌割部分が全部サイコーなのはそうなんですけど他のメンバーもバチバチと決めまくっているから目と耳が足りない!嬉しい!やったー!!!!!
例えば
・冒頭野村の「納得しないで」のリズム感
「なぁとくっし、なッいッでッ」スタッカートというかもはやアクセント気味に歌って盛り上げているところが冒頭にぴったりです。
・1番サビ野村「その日は来るよ天晴れだぜ」
彼女特有の開けた明るい音色が「天晴れだぜ」感ありすぎ
・1番終わり野村「ついておいで」のビブラート
シンプルにかっこよすぎる
・2番Aメロ和田「悩んでもしょうがないんで」
ごめんなさいここもしかしたられいれいかもしれないんですけど、緩急のつけ方とかすれさせ方がセクシーすぎてとりあえず桜子さんかと思ったの。ここほんとに好き。ジャジーな曲調に合わせにいってるところとか。
・2番サビ前浜浦「大好物食べて満足」
この歌詞はまちゃんのためにあるようなもんというか、はまちゃん以外に誰が歌うんだよって感じなんですけど、そこでやっぱりはまちゃんが凛々しく歌ってくれるところがなんていうかありがとう、命に感謝。
・2番終わり井上「自分愛せ」
褒められ伸び子のれいちゃんだからこそ歌えるところ。
ここ以外にもたくさんあるんですけど、こうして個々できらめきを見せるこぶしファクトリーさんだからこそユニゾンになったときのパワーが凄いんですよね。
最後の
ついてこいよー!!!
を聴いたらもう一生ついていきます…とひれ伏せざるを得ないめちゃくちゃ好き。
こんな感じで一曲ずつTwitterで書ききれないところをずらーっと書こうかな~と思っています。年越さないようにしたい気持ち。年越すかも。うわ~~~~~。
『眼鏡の男の子』に夢羽はどれくらい片思いをしたの
BEYOOOOONDSデビュー曲『眼鏡の男の子』と、その対になる曲として生まれた『文化祭実行委員長の恋』。
デビュー前に発表されていたBEYOOOOONDSの曲はこの2つであったわけだが、何回聴いても良い。良すぎる。
いわゆる“泣きメロ”の『眼鏡の男の子』に対して、短調、しかしコミカルな『文化祭実行委員長の恋』。対照的なメロディ、歌い手の高い表現力、的確な歌割、印象的な振付…などなど。魅力は多くあるが、今回は『眼鏡の男の子』シリーズの登場人物について考えてみたことを残そうと思う。
夢羽は高校何年生なのか?
『眼鏡の男の子』のメインヒロインは間違いなく“夢羽”だが、果たして彼女の学年は?
『眼鏡の男の子』はラストの「大したことないじゃん!」に向かう物語であるが、“夢羽”の学年(つまり片思い期間の長さ)によって楽しみ方が変わるように思う。
主人公“夢羽”の学年を探る前に、その周辺人物のプロフィールを整理しておこう。
『文化祭実行委員長の恋』からわかるキャラクタープロフィール
眼鏡の男の子
- 赤羽橋高校3年A組前田こころ
- 眼鏡着用
- 電車通学
- いつも同じ時間の同じ車両に乗車
- 電車内では教科書を読む
- 制服は学ラン
- 制服は気崩さないが、寝癖をつけがち
- 優しい顔立ち
- 美人な男の子
曲名にもなっているだけあり、彼だけ飛びぬけて情報量が多い。
「超地味な眼鏡男子」「彼は気づいてないだろうな 自分の美しさに」とあることや制服の着こなし、寝癖といった特徴から、彼がクラスでは目立たないタイプであることが度々描かれている。
電車内での過ごし方は一年生からの習慣なのか、受験生だからなのかはわからない。
いずれにせよ、高校3年の文化祭で突然女装コンテストへの出場を迫られ、グランプリに輝き、最終的に彼女までゲットした彼はまさに「シンデレラボーイ」である。
いわゆる“陰キャ”だった18歳がおそらく初めてできた彼女と電車で手を繋ぐのか?という点は甚だ疑問ではあるが…。
文化祭実行委員長
- 赤羽橋高校3年A組清野
- 文化祭実行委員長
『文化祭実行委員長』の“清野”は、明確に記されている情報がとても少ない。しかし彼女の人物像は歌詞からなんとなくイメージができるようになっている。
文化祭本番1週間前まであたふたと準備する様子、「仕事モード」といった描写はあまり計画的な方ではなく、しかし仕切りたがりな性格を想像させ、「ねぇちょっと男子!」「ねぇちょっと女子!」という台詞、「クラスの仲間たち」と結果発表を真剣に待っているところ、後の恋人を「超地味」と評するやや上からな態度は、クラスの中心グループにいる様子が伺える。受験生であるのに文化祭実行委員長を務める彼女はイベント好きで明るいキャラクターなのだろう。
そして何よりその押しの強さが印象的である。体育の時間、目に留まった地味グループの男子を「女装コンテストに興味ない?」「あとはウチらに任せなさい」「必ずスターにしてあげる」と誘い、さらに「本番までに眼科行ってコンタクト作ってきて!」である。強引にもほどがある。(最終的に一目惚れした彼をちゃっかり彼氏にまでしている。)
電車での通学中、手を繋ぐのはだいだい彼女からなのでは……。
『眼鏡の男の子』ではあまりキャラクタープロフィールが明かされないのに対し、『文化祭実行委員長の恋』では学年どころかクラスまで明記されている。“夢羽”の学年を考察するにあたって必要な情報を持つキャラクターは眼鏡の男の子と、強いて言うなら“清野”程度だが、ついでに他の人物についてもまとめてみた。
司会1
- 赤羽橋高校OG高瀬くるみ
- 専門学生
- 女装コンテストの企画者(元文化祭実行委員長?)
『文化祭実行委員長の恋』で最初にインパクトを与えるのは高瀬くるみの台詞回しであろう。高瀬くるみさん、本当に“こういうの”が上手い。
「卒業後も毎年いけシャーシャーと…」という台詞から、専門学校2年ではないかと思われる。
司会2
- 赤羽橋高校1年A組出席番号3番江口紗耶
- 文化祭実行委員(?)
- 塾に通う
- “前田こころ”を「先輩」と呼び、慕っている様子
『文化祭実行委員長の恋』での名脇役さやりん。初見では誰もがあまりに棒読みと思ったであろう“赤羽橋高校1年A組出席番号3番江口紗耶”であるが、それは「棒読み演技」があまりにも上手すぎるからなのでした…なんてスキルが底なしすぎる。『眼鏡の男の子』では「むむッ、ライバル多しッ」と呟き「超地味」な“前田こころ先輩”に憧れるあたり、ちょっぴりイタい部分もある真面目地味女子(ただしハートが強い)と思われる。
眼鏡をコンタクトにし、“清野”と付き合い始めた“先輩”に対して、“夢羽”と同じくがっかりしたのか否かが気になるところ。
さて、"夢羽"は?
先述の通り、『文化祭実行委員長の恋』ではストーリーにそれほど重要でないキャラクターにも明確な情報が与えられているのに対し、『眼鏡の男の子』では主人公とそのライバルの名前程度しかプロフィールが明かされない。
しかし主人公“夢羽”がどれほど『眼鏡の男の子』に片思いをしていたのかによって、「大したことないじゃん!」の捉え方は変わる。
後にも記すが、ここ半年程度の片思いであれば「毎朝見かけるからって簡単に想像膨らませちゃって恥ずかしいわ私」の感情が含まれるし、片思い3年目であれば長い時間をかけて積み上げてきた想いの分、どろりどろりとした感情が生まれる。
“夢羽”ちゃん、あなたは何年生なんですか?
“夢羽”は作中で『眼鏡の男の子』を「眼鏡君」と呼んでいるあたり、おそらく彼を同い年と思っているのではなかろうか。中高生において、学年の差はたとえ一つでもかなり大きい。まして高校3年となれば、独特の空気感で他校生でも学年を察することができるものである。“夢羽”と“眼鏡君”は同い年と考えるのが妥当ではないだろうか。
ここから、“夢羽”の片思いは以下の2パターンが考えられる。
- 高校3年になってからの片思い
- それ以前からの片思い
ここで思い出したいのは“恋の応援団長・副団長”の存在である。「青春の無駄遣い」という台詞からは、それだけを見るとそれなりの期間片思いをしていることが伺える。
しかし“夢羽”が高校3年だとすると、「恋を我慢する」のも一般的な選択であるし、それに対して友人が「青春の無駄遣い」と声をかけるのも自然だ。
つまりここまでの情報では“夢羽”の学年は察することが出来ても、どれくらい片思いをしているのかは決められないのである。
そして“夢羽”は「彼が眼鏡をかけていること以外なにも知らない」。
1である場合、“眼鏡君”を意識し始めてからまだ数カ月しか経っていないため、それしか情報を持ち得ないという意味になるが、2の場合、同じ車両程度の距離で見つめることしか出来ないため、長い時間をかけてもそれしか知ることができなかったという意味になる。
まあ眼鏡をかけていること以外にも制服を第一ボタンまでしっかり留めて着ていることや寝癖をつけたままにしていること、電車では教科書を読んで過ごしていることなども知っているのだが……。もし2だった場合、長年見つめるだけしかできない存在への憧憬が過剰なまでに膨らむのもよくあるお話。ここまでいろいろ考察してきてアレだけど、ぶっちゃけ2の方が個人的にはおいしいよね~~~。果たしてどっちなのだろうか。
“夢羽”の片思いなどつゆ知らず、「眼鏡君」は突然姿を見せなくなる。
おそらく文化祭の準備で1週間弱「同じ車両の同じ時間」に乗らなくなったのであるが、他校の文化祭スケジュールなんて(おそらく)知らない“夢羽”をはじめとする同じ車両の女子たちは「どこかへ引っ越ししたのかな?」なんて思いを馳せる。
「あれからどれくらい経つのでしょう」と言うと数カ月以上は経っているように思えるが、実際のところは1週間程度で、体感で長く感じていたのでは。
もしくは文化祭のあと登校時間を戻しても違う車両に乗っていたためしばらく見つけられなかったか(こっちのような気がする)。もしそうだとしたら「毎朝見ていたキミはいずこ?」と思っている間も「眼鏡君」は別の車両で「カノジョ」と一緒に登校していたことになる。なにそれしんどい……。
「その日遅刻でギリギリ乗った」の歌割は「眼鏡君」であるが、こう考えると"夢羽"が遅刻しそうになってギリギリ飛び乗った車両で「眼鏡君」と「カノジョ」を発見する流れが自然なのでは?とも思うけどどうなのでしょう。
「大したことないじゃん!」に込められた感情とは
『眼鏡の男の子』で最も盛り上がる部分はやはりラストの「大したことないじゃん!」だが、たった一文、されど一文。複雑な乙女心が読み取れる。
まず、そのまま
眼鏡をとったら思ったよりかっこよくないじゃん!
という勝手な失望・落胆。
さらに彼女ができて変わっちゃった彼に対して一気に興味が失せる感覚も“女子あるある”として挙げられる。
また、イソップ物語『すっぱい葡萄』的な、防衛機能及び合理化、負け惜しみっぽい感情も忘れてはならない。
他に、それなりの時間を費やしたにも関わらず妄想ばかり膨らませて結局何も進展せず、しかし案外すっぱり諦められてしまう程度の恋心、そして恋に恋してた"夢"みがちな自分が一番大したことじゃん!もあるのではないかと個人的には思っている。
それらがない交ぜになった結果の「大したことないじゃん!」は、片思い期間の長さで重みが変化するのだ。
- 高校3年になってからの片思い
- それ以前からの片思い
この2パターンをそれぞれ考えてみて、先ほどは2の方が個人的には好みのストーリーになりそうと書いたが、1もそれはそれでとても良い。1ならば(受験を控えた)高校3年にもなって恋に舞い上がっちゃって恥ずかしいんだけど!の気持ちもプラスされるし……。
18歳って周りである程度の恋愛を経験している子がいる中で、見ているだけで半年ほどまごまごしていたら知らない間に「かわいく微笑む」女の子(自分とは正反対で押しが強い)にたった1週間程度で彼をとられてしまう主人公のピュアな“可哀そう感”も楽しめてしまう。うう、どっちも良い……。
ちなみに後者の感情は2でも同じかと思う人もいるかもしれないけれど全く別物で、16歳からの一途な片思いと18歳からの奥手な片思いでは重みが違うのです。2年以上にも渡る片思いなら時間かけた意地みたいな気持ちも含まれるはずので。
結局『眼鏡の男の子』『文化祭実行委員長の恋』の2曲だけでは私には情報不足で“夢羽”ちゃんがどれくらいの期間片思いしていたのか判断しかねるのですが、今回挙げた2つのパターンどちらでもオタクは楽しいし、全然違う新パターンでもそれはそれで面白いと思います。
2019年11月27日に1stアルバムの発売も決まり、ますます勢いを増すBEYOOOOONDS。さすがにもう『眼鏡の男の子』シリーズ新作は出ないんじゃないかと思いますが、新曲に期待です。
「記事を書く人」になって4年が経った
2019年4月16日、途中で形態は変われど、「記事を書く」ことで賃金が発生する仕事を始めて4年が経った。
4年と言えば丁度大学の学部生を卒業するような年月であるので、これを一つの節目として現在までに起こった変化をまとめておきたい。
- 変わったこと➀形態が変わった
- 変わったこと②書きたいことが変わった
- 変わったこと③プライベートの過ごし方が変わった
- 変わったこと④伝えたいことが変わった
- 変わったこと⑤自分についての理解が変わった
- 終わりに
変わったこと➀形態が変わった
まず、この4年で身を置く媒体が変わった。
サービス名は明記できないが、大雑把に言うとキュレーションメディアから一次情報メディアにいる場所が変わり、それに伴って肩書もキュレーターからライターへ変わった。
キュレーションメディア全盛期にキュレーターとして活動できたことも、キュレーションメディアの権利問題がらみの騒動に直接関わったことも良い経験になっていると感じる。
現在は一次情報メディアの「中の人」として活動しているが、キュレーターだったときに「これもやれたらいいのにな」と思っていたことがだいたい実現できた。
一次情報メディアは自分の意思を色濃く反映できるのが大きな魅力の一つである。
それに対してキュレーションメディアは自分では表現できないものを、それをできる人に助けてもらってイメージに近い世界観をつくることができる。
どちらが良い・悪いという話ではなく、自分にとっては一次情報メディアの方がやりたいことに沿っていたと、両方経験して判断した。
時代が移り変わればメディアの形態も変化する。今後も新たな形のメディアが生まれていくだろうから、それらもぜひ経験できれば、と思う。
変わったこと②書きたいことが変わった
「記事を書く」ことを始めた当初は、自分の好きなものを発信したいという気持ちがモチベーションだった。
しかし、一年くらい経ったころからか、書きたいと思う内容が変わってきた。
自分が好きなものよりも、自身のサービスにあった方が良いと考えるものや、読者が読みたいものが書きたいという意識になったのだ。
正直、自身の好きなものがいつでもマスに刺さるとは今現在思っていない。
だから、自分の好きなものの良さを人に提示するよりは、自社のコンテンツが充実すること、多くの読者にとって役に立つ記事を出すことが自分にとっては重要で、それはライターとして必要な感覚だと考えている。
もちろん自分の好きなものはずっと好きだし、それが何かと比べて劣っているだとかそんな風には思っていない。
でもあくまでも今の私は一つのメディアの「中の人」であるから、「自身の発信すること=弊サービスが発信すること」ということを常に意識していきたいなと思う。
こんなにもSNSが発達している時代だ。自分の好きなことの発信は己のアカウントでしていけば十分である。
変わったこと③プライベートの過ごし方が変わった
端的に、この4年で情報中毒の生活になった。
「記事を書く人」になる前までも相当ネット依存の生活を送ってはいたが、それでもやはり1日のうちで情報収集に使う時間がかなり増えたと感じている。
実家に帰った時は大体父親に怒られる。
最初の一年は国内のTwitterやInstagramアカウントを見る程度だったが、今はあえてテレビを見たり、流行りの場所に行ってみたり、果てにはロシア人のInstagramアカウントを見てみたりと情報収集でなかなか忙しい毎日となっている。
ドラマやバラエティ、映画、漫画などなど、どこから次の「カワイイ」が生まれるかわからない。
本来よくあるラブストーリーは冷めた目で見てしまうのだが(良くないと思ってはいるが仕方ない)、流行っているとなると見なければならないような気がしていつの間にか毎週テレビに向かっていて、気がついたら涙を流しているのである。
そうなると本当の意味での自分の時間とは?と思ってしまうが、情報を集めることや知らないことを知ることは前から好きであるので、逆に言えば仕事中だってプライベートなのかもしれないと最近は割り切っている。
唯一心配と言えば心配なのは、いつか誰かと同居した時にこの生活スタイルに理解を示してもらえるのだろうかという点なのだが、一般的にどうなのでしょうね?
変わったこと④伝えたいことが変わった
これは②の「書きたいこと」と似て非なるものである。
キュレーションメディアの採用面接に向かう時の私は「女性のためになることがしたい」「カワイイに助けられたことへの恩返しをしたい」という気持ちだった。
その気持ちは今も変わらず持っているが、今はそれらを含めて「世界を平和にしたい」とか、「もっと世の中を自由に」とか「正の循環を」といった気持ちで文章を書いている。
情報収集の精度が上がり、また、幅広い情報に触れるにつれて、世の中のことを考えることが多くなった。
そしてそれらは決して自分とは違う世界に住む偉い人たちの問題ではなく、自身が苦しんできたことや向き合ってこなければならなかったことに結果として繋がっているとわかった。
自分は、一つの媒体を通して誰かの生活にするりと忍び込むことが出来る。
私の言葉選び一つで誰かを楽しませることも、悲しませることも出来る。
とても怖い仕事である。
だからこそ、多くの人にとって、社会にとって「良いこと」を提示する努力をしていきたい。
この先の化粧文化は女性だけのものではない。
男性も自由にメイクするのが当たり前になって欲しいし、反対に、「メイクをしない自由」が当たり前に認められる時代になって欲しい。
それをつくるのが日々の自分の仕事なのである。
何かの良い所を挙げるために、他の何かを下げることはしたくない。(そういった点で今いる会社のスタンスは自分にフィットしていると思う)
各々のカワイイがそれぞれサイコー、良いものに対価を払ってみんなハッピー。夢物語みたいだが、不特定多数の人にイメージを伝える者として、これを諦めるわけにはいかないのだ。
誰かの地獄をちょっとでも救える何かを日々模索し、誰かの人生のヒントになるものを作ることが出来ればとても良い。
変わったこと⑤自分についての理解が変わった
この4年で社会に対する理解も深まったが、それと同じくらい自分自身の理解も深まったように感じる。
前述したように、キュレーションメディアで働き始めた時は「女性のためになる何か」くらいにしか、やりたいことがわかっていなかった。
そして、自分に何ができるのかは全く理解できていなかった。
じゃあ今はどれくらい自分のことをわかっているのかという話だが、やりたいことは④で書いたとおりである。
メディアの中の人間として、より多くの人が自由に楽しく生きるための情報伝達をしていきたい。
自分はあくまでも情報の仲介者であると、ここ数年ひしひしと感じている。
私自身は斬新なアイディアとか革新的なデザイン、新たな技術を生み出すことができない。
しかし誰かがこだわってつくったものの情報を噛み砕いて、消費者がわかりやすい形に再構築することはできる。
素晴らしいものをつくる人の意図を正確に、そしてつくった人が気がついていない魅力を見つけ、より多くの消費者に伝える。
その活動を通して消費の正の循環を回せば、資本主義社会においては世界平和に少しずつ近づいていけると考えている。
また、自分はフリーではなく、編集部の中に籍を置く人間でもあり続けたいとわりと最近気がついた。
仕事をしていく中で喜びを感じる瞬間は?と聞かれたとき、最も優先して頭に浮かぶのはチームの中でファインプレーを褒められた時である。
メーカーさんや読者から直接感謝のお言葉を頂ける場面がこれまでは少なかったというのもあるが、やはり自分は個人ではなくチームでひとつのものをつくっていきたい。
だからこれからも場所は変わっても集団の中に身を置くのだろうなと予感している。
それから、自分は物事を「分析と総合」することが得意なのだろうとなんとなくわかってきた。
新しいものを一から生み出すのは苦手だが、世の中の流れや「一から生み出す」立場の人たちが提示するものを理解し、こういうことだよね!と言語化することはできる。
これは元々自分にあった能力かもしれないが、それを得意かもしれないと思えるレベルにまで引き上げてくれたのはこの4年間だったと思う。月並みな表現ではあるが、やはり継続は力なり。
これが得意であるからこそ、誰か一人に師事するというよりは、できるだけ多くの人の考えを聞いて必要なこと・大切なことは何であるかを考えていくスタイルの方が自分は成長できそうだとも思っている。
昨年末、友人に尊敬する人は?と聞かれて上手く出てこなかったのも、このことが理由ではないかと今なら思える。
自身の仕事のレベルを引っ張り上げてくれたのは今の会社の方々であることは間違いない一方で、前の会社で出会った方々は今も尊敬しているし、今の自分の仕事に生きている教えを沢山頂いた。
世の中に何かインパクトを与えられる人たちは、根底に同じものを持っているような気がしている。
今はまだ上手く言語化できないが、これから多くの人たちに出会って多くの考えに触れ、それが何なのかいつかきっと自分なりの答えを出したい。
終わりに
ここまで長々と今までの振り返りをしてきたが、最後に言及しておきたいのは自分は文章を書くことでひとを救いたいと思っている一方で、自身も救いたいと思っている事である。
ただの自分語りになってしまうが、幼い頃からとかく考え事をする子供であった。
気がつけば頭の中で思考が巡る。テーマはその時によって様々であるが、ポッと頭に出てきたことがどんどん発展していき、それは可視化しないと消化できないものであった。
そんな私を救ってくれたのは考えを言葉にすることが許されている環境だった。
言葉を扱うことを仕事にすれば、常に頭を埋め尽くす言葉をどんどん消化することが出来る。
少なくとも、就業時間内は仕事のことだけが頭に巡り、逐一言語化できる。
考えを文章として成り立たせることが得意になってきたので、通勤中などに考えごとで頭が破裂しそうになったとき、今じゃスマホにざっとメモして消化することが出来る。
自分がなぜこんなに苦しいのか、ずっとずっと考えてきた。
その答えは日本のカワイイ文化の下、カワイイを文章で提示し続ける中で見つかるという確信がある。
己を地獄から救うのは、自身の妥協しない思考と鍛えぬいた言語能力であるのだ。
浮き足立てる三月
最近会った人には話したけど、三月が好きだ。
正確には卒業式や修了式が終わってから入学式、始業式が来るまでの期間。
三寒四温の季節、暖かい日が増えてきて外にも出やすくなり(花粉は辛いが)、スキップしたくなるような。
かと思いきや突然真冬のように寒い日が来て現実に引き戻される。
高校生でも大学生でもない、学生でも社会人でもない、一年生でも二年生でもないあの感じ。
所在不明な存在が街に溢れていて、大いなる期待と不安で満ちている空気。
自分はこれまで通り同じ電車に乗って同じ会社に向かうのだが、"何者でもないひとたち"を見るとまるで自分もその仲間であるかのように錯覚してしまうのである。
何者でもないというのは同時に何者にもなれるということで、ふわふわした雰囲気の中に確かな希望を感じる。
浮き足立った空気に思わず自分もなんでもできそうな気さえしてくる。
今日は海に行ってみようとか、気になってたけど勇気が出なくて行けなかった店に入ってみようとか、大きなことから些細なことまで。
実際に実行できたのは後者だけだが。
今夜ベッドに入って目が覚めたら、いつも通りの一日が始まる。
いつも通りベッドから出て歯を磨き、着替えてメイクして髪を整え、いつも通りの時間に電車に乗る。いつも通りを積み重ねる平日。
浮き足立てる三月はあと数十分で終わるのだ。