『眼鏡の男の子』に夢羽はどれくらい片思いをしたの

BEYOOOOONDSデビュー曲『眼鏡の男の子』と、その対になる曲として生まれた『文化祭実行委員長の恋』。

 

デビュー前に発表されていたBEYOOOOONDSの曲はこの2つであったわけだが、何回聴いても良い。良すぎる。

 

いわゆる“泣きメロ”の『眼鏡の男の子』に対して、短調、しかしコミカルな『文化祭実行委員長の恋』。対照的なメロディ、歌い手の高い表現力、的確な歌割、印象的な振付…などなど。魅力は多くあるが、今回は『眼鏡の男の子』シリーズの登場人物について考えてみたことを残そうと思う。

 

 

夢羽は高校何年生なのか?

 

『眼鏡の男の子』のメインヒロインは間違いなく“夢羽”だが、果たして彼女の学年は?

『眼鏡の男の子』はラストの「大したことないじゃん!」に向かう物語であるが、“夢羽”の学年(つまり片思い期間の長さ)によって楽しみ方が変わるように思う。

主人公“夢羽”の学年を探る前に、その周辺人物のプロフィールを整理しておこう。

 

『文化祭実行委員長の恋』からわかるキャラクタープロフィール

 

眼鏡の男の子

  • 赤羽橋高校3年A組前田こころ
  • 眼鏡着用
  • 電車通学
  • いつも同じ時間の同じ車両に乗車
  • 電車内では教科書を読む
  • 制服は学ラン
  • 制服は気崩さないが、寝癖をつけがち
  • 優しい顔立ち
  • 美人な男の子

曲名にもなっているだけあり、彼だけ飛びぬけて情報量が多い。

「超地味な眼鏡男子」「彼は気づいてないだろうな 自分の美しさに」とあることや制服の着こなし、寝癖といった特徴から、彼がクラスでは目立たないタイプであることが度々描かれている。

電車内での過ごし方は一年生からの習慣なのか、受験生だからなのかはわからない。

いずれにせよ、高校3年の文化祭で突然女装コンテストへの出場を迫られ、グランプリに輝き、最終的に彼女までゲットした彼はまさに「シンデレラボーイ」である。

いわゆる“陰キャ”だった18歳がおそらく初めてできた彼女と電車で手を繋ぐのか?という点は甚だ疑問ではあるが…。

 

文化祭実行委員長

  • 赤羽橋高校3年A組清野
  • 文化祭実行委員長

『文化祭実行委員長』の“清野”は、明確に記されている情報がとても少ない。しかし彼女の人物像は歌詞からなんとなくイメージができるようになっている。

文化祭本番1週間前まであたふたと準備する様子、「仕事モード」といった描写はあまり計画的な方ではなく、しかし仕切りたがりな性格を想像させ、「ねぇちょっと男子!」「ねぇちょっと女子!」という台詞、「クラスの仲間たち」と結果発表を真剣に待っているところ、後の恋人を「超地味」と評するやや上からな態度は、クラスの中心グループにいる様子が伺える。受験生であるのに文化祭実行委員長を務める彼女はイベント好きで明るいキャラクターなのだろう。

そして何よりその押しの強さが印象的である。体育の時間、目に留まった地味グループの男子を「女装コンテストに興味ない?」「あとはウチらに任せなさい」「必ずスターにしてあげる」と誘い、さらに「本番までに眼科行ってコンタクト作ってきて!」である。強引にもほどがある。(最終的に一目惚れした彼をちゃっかり彼氏にまでしている。)

電車での通学中、手を繋ぐのはだいだい彼女からなのでは……。

 

『眼鏡の男の子』ではあまりキャラクタープロフィールが明かされないのに対し、『文化祭実行委員長の恋』では学年どころかクラスまで明記されている。“夢羽”の学年を考察するにあたって必要な情報を持つキャラクターは眼鏡の男の子と、強いて言うなら“清野”程度だが、ついでに他の人物についてもまとめてみた。

 

司会1

  • 赤羽橋高校OG高瀬くるみ
  • 専門学生
  • 女装コンテストの企画者(元文化祭実行委員長?)

『文化祭実行委員長の恋』で最初にインパクトを与えるのは高瀬くるみの台詞回しであろう。高瀬くるみさん、本当に“こういうの”が上手い。

「卒業後も毎年いけシャーシャーと…」という台詞から、専門学校2年ではないかと思われる。

 

司会2

  • 赤羽橋高校1年A組出席番号3番江口紗耶
  • 文化祭実行委員(?)
  • 塾に通う
  • “前田こころ”を「先輩」と呼び、慕っている様子

 『文化祭実行委員長の恋』での名脇役さやりん。初見では誰もがあまりに棒読みと思ったであろう“赤羽橋高校1年A組出席番号3番江口紗耶”であるが、それは「棒読み演技」があまりにも上手すぎるからなのでした…なんてスキルが底なしすぎる。『眼鏡の男の子』では「むむッ、ライバル多しッ」と呟き「超地味」な“前田こころ先輩”に憧れるあたり、ちょっぴりイタい部分もある真面目地味女子(ただしハートが強い)と思われる。

眼鏡をコンタクトにし、“清野”と付き合い始めた“先輩”に対して、“夢羽”と同じくがっかりしたのか否かが気になるところ。

 

さて、"夢羽"は?

 

先述の通り、『文化祭実行委員長の恋』ではストーリーにそれほど重要でないキャラクターにも明確な情報が与えられているのに対し、『眼鏡の男の子』では主人公とそのライバルの名前程度しかプロフィールが明かされない。

しかし主人公“夢羽”がどれほど『眼鏡の男の子』に片思いをしていたのかによって、「大したことないじゃん!」の捉え方は変わる。

後にも記すが、ここ半年程度の片思いであれば「毎朝見かけるからって簡単に想像膨らませちゃって恥ずかしいわ私」の感情が含まれるし、片思い3年目であれば長い時間をかけて積み上げてきた想いの分、どろりどろりとした感情が生まれる。

“夢羽”ちゃん、あなたは何年生なんですか?

 

“夢羽”は作中で『眼鏡の男の子』を「眼鏡君」と呼んでいるあたり、おそらく彼を同い年と思っているのではなかろうか。中高生において、学年の差はたとえ一つでもかなり大きい。まして高校3年となれば、独特の空気感で他校生でも学年を察することができるものである。“夢羽”と“眼鏡君”は同い年と考えるのが妥当ではないだろうか。

 

ここから、“夢羽”の片思いは以下の2パターンが考えられる。

 

  1. 高校3年になってからの片思い
  2. それ以前からの片思い

 

ここで思い出したいのは“恋の応援団長・副団長”の存在である。「青春の無駄遣い」という台詞からは、それだけを見るとそれなりの期間片思いをしていることが伺える。

しかし“夢羽”が高校3年だとすると、「恋を我慢する」のも一般的な選択であるし、それに対して友人が「青春の無駄遣い」と声をかけるのも自然だ。

つまりここまでの情報では“夢羽”の学年は察することが出来ても、どれくらい片思いをしているのかは決められないのである。

 

そして“夢羽”は「彼が眼鏡をかけていること以外なにも知らない」。

1である場合、“眼鏡君”を意識し始めてからまだ数カ月しか経っていないため、それしか情報を持ち得ないという意味になるが、2の場合、同じ車両程度の距離で見つめることしか出来ないため、長い時間をかけてもそれしか知ることができなかったという意味になる。

まあ眼鏡をかけていること以外にも制服を第一ボタンまでしっかり留めて着ていることや寝癖をつけたままにしていること、電車では教科書を読んで過ごしていることなども知っているのだが……。もし2だった場合、長年見つめるだけしかできない存在への憧憬が過剰なまでに膨らむのもよくあるお話。ここまでいろいろ考察してきてアレだけど、ぶっちゃけ2の方が個人的にはおいしいよね~~~。果たしてどっちなのだろうか。

 

“夢羽”の片思いなどつゆ知らず、「眼鏡君」は突然姿を見せなくなる。

おそらく文化祭の準備で1週間弱「同じ車両の同じ時間」に乗らなくなったのであるが、他校の文化祭スケジュールなんて(おそらく)知らない“夢羽”をはじめとする同じ車両の女子たちは「どこかへ引っ越ししたのかな?」なんて思いを馳せる。

「あれからどれくらい経つのでしょう」と言うと数カ月以上は経っているように思えるが、実際のところは1週間程度で、体感で長く感じていたのでは。

もしくは文化祭のあと登校時間を戻しても違う車両に乗っていたためしばらく見つけられなかったか(こっちのような気がする)。もしそうだとしたら「毎朝見ていたキミはいずこ?」と思っている間も「眼鏡君」は別の車両で「カノジョ」と一緒に登校していたことになる。なにそれしんどい……。

「その日遅刻でギリギリ乗った」の歌割は「眼鏡君」であるが、こう考えると"夢羽"が遅刻しそうになってギリギリ飛び乗った車両で「眼鏡君」と「カノジョ」を発見する流れが自然なのでは?とも思うけどどうなのでしょう。

 

「大したことないじゃん!」に込められた感情とは

 

『眼鏡の男の子』で最も盛り上がる部分はやはりラストの「大したことないじゃん!」だが、たった一文、されど一文。複雑な乙女心が読み取れる。

 

まず、そのまま

 

眼鏡をとったら思ったよりかっこよくないじゃん!

 

という勝手な失望・落胆。

 

さらに彼女ができて変わっちゃった彼に対して一気に興味が失せる感覚も“女子あるある”として挙げられる。

また、イソップ物語『すっぱい葡萄』的な、防衛機能及び合理化、負け惜しみっぽい感情も忘れてはならない。

他に、それなりの時間を費やしたにも関わらず妄想ばかり膨らませて結局何も進展せず、しかし案外すっぱり諦められてしまう程度の恋心、そして恋に恋してた"夢"みがちな自分が一番大したことじゃん!もあるのではないかと個人的には思っている。

 

それらがない交ぜになった結果の「大したことないじゃん!」は、片思い期間の長さで重みが変化するのだ。

 

  1. 高校3年になってからの片思い
  2. それ以前からの片思い

 

この2パターンをそれぞれ考えてみて、先ほどは2の方が個人的には好みのストーリーになりそうと書いたが、1もそれはそれでとても良い。1ならば(受験を控えた)高校3年にもなって恋に舞い上がっちゃって恥ずかしいんだけど!の気持ちもプラスされるし……。

18歳って周りである程度の恋愛を経験している子がいる中で、見ているだけで半年ほどまごまごしていたら知らない間に「かわいく微笑む」女の子(自分とは正反対で押しが強い)にたった1週間程度で彼をとられてしまう主人公のピュアな“可哀そう感”も楽しめてしまう。うう、どっちも良い……。

ちなみに後者の感情は2でも同じかと思う人もいるかもしれないけれど全く別物で、16歳からの一途な片思いと18歳からの奥手な片思いでは重みが違うのです。2年以上にも渡る片思いなら時間かけた意地みたいな気持ちも含まれるはずので。

 

結局『眼鏡の男の子』『文化祭実行委員長の恋』の2曲だけでは私には情報不足で“夢羽”ちゃんがどれくらいの期間片思いしていたのか判断しかねるのですが、今回挙げた2つのパターンどちらでもオタクは楽しいし、全然違う新パターンでもそれはそれで面白いと思います。

2019年11月27日に1stアルバムの発売も決まり、ますます勢いを増すBEYOOOOONDS。さすがにもう『眼鏡の男の子』シリーズ新作は出ないんじゃないかと思いますが、新曲に期待です。

 

www.youtube.com

 

www.helloproject.com